「締め切り前の課題があるのに、ついスマホを見てしまう…」
「部屋を片付けなきゃと思いつつ、一日中ベッドの上で過ごしてしまった…」

そんな経験から、「どうして自分はこんなに意志が弱いんだろう」「自分は怠け者だ」なんて、自分を責めていませんか?

その悩み、実はあなたの意志の弱さや、”怠け”が原因ではないかもしれません。
ADHD(注意欠如・多動症)の脳の特性が、「先延ばし」行動に深く関係していることがあるのです。

この記事では、ADHDの人がなぜ先延ばしをしやすいのか、その脳の仕組みをやさしく解説します。
さらに、長年、発達障害のある方の就労をサポートしてきたカフェベルガでの学びをもとに、今日からすぐに試せる具体的な5つの工夫もご紹介。

読み終える頃には、自分を責める気持ちが軽くなり、「これならできるかも」と前向きな一歩を踏み出せるはずです。


ベルガーくん
ベルガーくん

吉田さん、先延ばしは本人のやる気だけの問題じゃないんですね。脳の仕組みが関係しているなんて、驚きです。

そうなのよ、ベルガーくん。だから自分を責める必要はないの。大切なのは、自分の特性を理解して、それに合った工夫を見つけることなのよ。

吉田代表
吉田代表

「また後回し…」ADHDの先延ばしは”怠け”じゃないんです

やるべき事を先延ばしにしてしまった人

「やらなきゃいけないことがあるのに、どうしてもやる気が出ない…」
「ついスマホをいじってしまって、気づいたら夜になっていた」

そんな風に、やるべきことを後回しにしてしまい、後で大変な思いをしたり、自分を責めたりしていませんか?

「どうして自分はこんなに怠け者なんだろう」と感じてしまうかもしれません。
でも、安心してください。それは、あなたが怠けているからではないんです。

もしあなたがADHD(注意欠如・多動症)の特性を持っているなら、その「先延ばし癖」は、本人の性格ややる気の問題ではなく、脳の仕組みが関係しているのかもしれません。

この記事では、その仕組みと、今日からできる具体的な工夫についてお話しします。
もう自分を責めるのはやめて、脳の特性を理解することから始めてみましょう。

なぜ?ADHDの人がつい先延ばしにしてしまう脳の仕組み

では、なぜADHDの特性があると先延ばしをしやすくなるのでしょうか。
それは、脳の中の「司令塔」と「やる気スイッチ」の働きに関係しています。

私たちの脳には、「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という部分があります。
ここは、物事の計画を立てたり、行動をコントロールしたりする、まさに「司令塔」のような役割を担っています。

そして、脳がスムーズに働くためには、「ドーパミン」などの神経伝達物質が必要です。
これは、車のガソリンや、私たちの「やる気スイッチ」のようなものだとイメージしてください。

ADHDの人の脳では、この「司令塔」の働きに少し特徴があったり、「やる気スイッチ」であるドーパミンの調整がうまくいかなかったりすることが分かっています。

そのため、「よし、やるぞ!」と行動に移すまでに、他の人よりも多くの時間やエネルギーが必要になるのです。
エンジンがかかりにくい状態、と考えると分かりやすいかもしれませんね。
決して「サボっている」わけではないのです。

今日から試せる!先延ばし癖と上手に付き合う5つの工夫

自分の障害特性に合うパズルのピースを見つけた人

脳の仕組みが原因なら、どうしようもないの?と思うかもしれません。
そんなことはありません。自分の脳の特性に合わせた工夫をすることで、先延ばし癖と上手に付き合っていくことができます。
ここでは、今日からすぐに試せる5つの工夫をご紹介します。

  • 工夫1:とにかくハードルを低くする
    「1時間勉強する」と考えると気が重くなりますが、「とりあえず5分だけ机に向かう」ならどうでしょう。一度始めてしまえば、意外と作業が続くことも多いものです。まずは「始めること」だけを目標にしてみましょう。
  • 工夫2:やることを細かく分解する
    「部屋の掃除」という大きな目標だと、何から手をつけていいか分からなくなります。「まずベッドの上を片付ける」「次に机の上の本を本棚に戻す」というように、タスクをできるだけ小さく分解してみましょう。一つひとつクリアしていく達成感が、次の行動につながります。
  • 工夫3:時間を味方につける
    スマートフォンやキッチンタイマーで「25分集中して5分休む」のように時間を区切るのも効果的です。終わりが見えていると、集中しやすくなります。「ポモドーロ・テクニック」という名前でも知られています。
  • 工夫4:"ごほうび"を用意する
    「この作業が終わったら、好きな動画を1本見る」など、自分のために小さなごほうびを用意しましょう。楽しみがあることで、脳の「やる気スイッチ」が入りやすくなります。
  • 工夫5:便利なツールに頼る
    やるべきことを忘れないように、スマートフォンのリマインダー機能やタスク管理アプリを使うのもおすすめです。自分の記憶力だけに頼らず、便利な文明の利器をどんどん活用しましょう。

これらの中から、自分に合いそうなものを一つでもいいので試してみてくださいね。

ひとりで抱えないで。就労移行支援で受けられるサポート

困りごとを相談支援員に相談する人

いろいろな工夫を試してみても、うまくいかないこともあるかもしれません。
特に、仕事を探したり、働き続けたりすることに難しさを感じている場合、一人で悩みを抱え込んでしまうのはとてもつらいことです。

そんな時は、ぜひ専門の機関を頼ってください。
私たち「カフェベルガ」のような就労移行支援事業所は、発達障害の特性を持つ方々が、自分らしく働くためのサポートをしています。

カフェベルガでは、ADHDの特性を理解したスタッフが、あなたと一緒に「自分に合った対策」を見つけるお手伝いをします。
短期間で無理に就職を目指すのではなく、あなたが安心して過ごせる「場」で、自分のペースで準備を整えていくことを大切にしています。

生活リズムの整え方から、仕事で役立つスキルの習得、自分に合った仕事探しまで、一人ひとりの状況に合わせて、じっくりとサポートしますので、安心して相談してください。

まとめ

今回は、ADHDの「先延ばし癖」について、その原因と対策をお話ししました。

  • 先延ばしは、怠けや性格の問題ではなく、脳の仕組みによるもの。
  • 「ハードルを下げる」「タスクを分解する」など、脳の特性に合った工夫で、行動しやすくなる。
  • 一人で悩まず、就労移行支援事業所などの専門機関に相談することも大切。

一番大事なのは、先延ばしをしてしまう自分を責めすぎないことです。
自分の脳の特性を正しく理解し、上手に付き合っていく方法を見つけることが、自信を持って次の一歩を踏み出すためのカギになります。

この記事が、あなたの「はじめの一歩」のきっかけになれば嬉しいです。