「おかげさまでカフェベルガは創立20周年!
このたび、みなさんともっと身近なお店になるため、お店の声をお届けすることになりました。 第一回は、吉田代表へのインタビューでベルガの歴史を振り返ります。 ぜひご覧ください!」

今から20年前の1996年、カフェベルガは、つくばカピオのオープンと同時に産声を上げた。
つくばの大清水公園に多目的文化施設が建設される、という話は以前からあった。
この施設に市民が自由に使える福祉的スペースを作ってほしいという要望に沿って、つくば市福祉等連絡協議会にレストランを営業しないか、という話が持ち上がる。
そこで有志が集まり、有限会社友遊舎を立ち上げた。

吉田代表は会社の設立、店舗の立ち上げから参加したスタッフで、初代店長として奮闘した。
「最初はとにかくお店の営業のことで精いっぱいでした」
カフェベルガは、その当初から障害者への支援を行っていたわけではなかった。ただ、スタッフの身近には、様々な障害を抱えていたり、学校などでの生活が困難な若者たちがいた。
そういった若者たちに、カフェでのちょっとした仕事をアルバイトとして手伝ってもらうようになったのは自然な成り行きだったという。
「フロアで彼らがいきいきと元気を取り戻していく様子を目の当たりにして、ひきこもりの青年たちへの支援ができるかもしれない、と考えるようになりました」

転機となったのは2011年。
「ダウン症の当事者が、それまで利用していた施設ではケアを受けられなくなり、ベルガに通われ始めたんですね」
市の助言もあり、ここで初めてカフェベルガは『生活支援事業』を提供する施設となった。

そして翌2012年、カフェベルガが現在の姿になる大きな契機が訪れる。
「カフェベルガが発達障害のある若者を対象とした『就労移行支援事業』に取り組むことになったのです」
同じ頃つくば市内では茨城県のモデル事業として、発達障害のある若年層への就労支援プログラムが実施されていた。
この事業のためのネットワークには、既に都内で就労移行支援事業を展開していた企業やつくば市保健福祉部障害福祉課、茨城県内の複数の発達障害支援機関などが参加していた。
そして、2013年3月までの期間が終了した後も、当地で取り組みを継続することが求められるものだった。
「そこでカフェベルガの事業が、その取り組みを引き継ぐことになりました」

2013年4月。つくば市春日に新たな支援事業所がオープンした。
フロアはオフィスを模して作られており、利用者はパソコンを中心とした実務的な訓練に加え、働くことの意義や生活の組み立て方について学んだり、時には外部から招かれた講師によるワークショップで様々なアプローチから就職に繋がる力を付けていく。
翌年からは利用者の増加に伴い、事業所も天久保地区へと移転、『サポートオフィス』としてサービスを提供している。
また利用者個人の適性に合わせ、オフィスでの訓練だけでなくカピオのレストラン『カフェベルガ』での皿洗い、フロアなどの作業も選択することができる。
「皿洗いに来るのがやっとだった方が、パソコンに触れ、独学でインターネットやコンピューターグラフィックスの知識を身につけられ、さらには自らモチベーションを高めて就職へと至ったケースもあります」

しかし、吉田代表が考えるカフェベルガの役割は、それだけのものではない。
「発達障害の当事者たちと接すると、皆さん『居てもよい場所』を求めておられるように感じます。必死に学校を出ようとして学歴だけを手に入れても、社会との繋がりを持てるでしょうか。
 訓練に通所すること自体がハードルである方もおられます。ですが、せっかくベルガと繋がりを持てたのですから、それを大切にしたい。ここで取り組むことは何でもいいので、その中から自分がやりたいと思えるもの、手応えのあるものを見つけて、今日生きている自分をつかまえてほしいのです。そして社会と繋がりを持つ」

ベルガには、ここでのアルバイトや訓練を経て社会人となった卒業生が訪ねてくることもあるそうだ。
「『発達障害』には、学校、仕事、恋愛、そして特に家庭など、人生のあらゆる問題が関わります。私たちもそういったことを一緒に考えていけるように、まだまだ専門性を磨いていきますので、どうか遠慮なく、どんな方でもどんなことでもおしゃべりに来て下さい」